
まず、枕選びの前提として…
「この枕にすれば熟睡できます」
テレビや雑誌、広告などでこのようなフレーズを目にすることがあります。
決して否定はしませんが、睡眠のお悩みは、枕を変えるだけで解決するものではありません。
枕は敷寝具の一部なので、敷き布団やマットレス と合わせた寝心地を考える必要があるからです。
このため、 枕選びは、お客様の体に合った敷寝具がすでに揃っていることが前提となります。
理想的には、まず敷ふとんをお客様の体に合ったものを選び、それから、その敷ふとんにあわせて枕選びをされることをおすすめいたします。
よく、「枕をいくつも代えたんだけど、どうしてもぴったり合うのが無い」というお客様がいらっしゃいます。
じっくりお話を聞いてみると、敷ふとんやマットレスが合っていなかったり、ちゃんと機能していなかったりすることが実に多いです。
「敷ふとんまではなぁ」という場合でも、敷き布団を1枚敷から2枚敷へ変えるだけで機能向上が図れることもございますので、枕選びの前に「敷ふとんの選び方」や「ベッドの選び方」をチェックしていただき、お客様に合った敷寝具になっているか、ご相談いただけたらと思います。
枕の選び方
枕は一般的に「頚椎の高さと気道の角度で合わせる」という基本があります。
しかし、 ヒトはずっと仰向けで寝ているわけではありません、寝返りしながら横向けに寝る場合もあります。
体調によって高さの好みも微妙に異なるという傾向もあります。
横向き寝の方、うつぶせで寝る方、それぞれの寝姿勢や好みに合わせて最適な枕を選ぶには、靴選びと同じで実際にフィッティングを行うことが大切です。
下の図を見てもらえば一目瞭然なのですが、最適な枕の高さは敷ふとんの固さや寝姿勢の保持能力によって変わります。

当店で枕のフィッテイングを行うときには、できる限り、お客様が現在お使いになっている敷ふとんの固さに合わせるようにしております。
仰向け寝をされる方
頸椎の高さと気道の角度を合わせます。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、あごが少し上がる感じで気道の確保をしやすいように、頸椎の部分を少し高めにセッティングすることが多いです。

横向き寝をされる方
肩の高さの確保が基本+寝返りのしやすさ
上の枕の説明は仰向けですが、実際には横向き寝をされる場合もかなりありますし、寝返りしながら仰向けと横向けを繰り返していることも多いと思います。
仰向けで枕の高さを合わすと、横向け寝では肩の部分の高さが必要になってきますから高さが合いません。逆に横向け寝で合わすと、仰向け寝は高すぎるということになります。
横向け寝の場合、敷ふとんやマットレスはさらに重要になります。というのも、硬すぎる敷ふとんやマットレスでは肩が大きく圧迫されてしまい、肩こりの原因にもなるからです。

つまり、枕選びにおいては寝返りのしやすさも大きなポイントです。
当店の枕の選び方
1 カウンセリング

最初に、現在の睡眠の問題点やお使いの寝具の状態などをお聞きします。
たとえば、通常は仰向け寝の方でも、いびきが大きいなど睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、睡眠外来での受診をおすすめすると同時に、横向き寝をおすすめします。
もしこの時点で敷に問題がある場合は、その対応もあわせて考えます。寝姿勢を確認させていただくと同時に、枕の固さについてのお好みもお聞きします。
2 頸椎高を計測

店頭のベッドで横になっていただき、頚椎の高さを測定します。
このとき、ベッドの固さをできるだけご自宅でお使いの敷き寝具に近い固さに調整します。
敷ふとんやベッドを同時にお買い上げの場合は、その品物の上でチェックを行います。
頚椎高の高さはあくまで目安でしかありません。横になっていただいたときに、頚椎や肩の状態、自然な寝姿勢を得られる角度と高さを確認します。
3 フィッティングして決定

頚椎の高さとカーブの状態、硬さのお好みをもとに、いくつかの枕を実際に使って寝心地を試していただきます。
枕の表面の感触や固さ沈み込みのスピードや反発力、そして高さ、など自分が気持ち良いと思える素材の組み合わせと、仰向け時や横向け時それぞれの寝心地も合わせて自分にぴったりの枕を決めていただきます。
ただ、高さに関しては店頭で良くても、自宅ではあわないというケースもありますので、高さ調整ができる枕をおすすめいたします。