
掛ふとんの条件は、軽い+肌沿いが良い+温度33℃+湿度50%
「あたたかい掛ふとんが良い」そんなイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし、高気密高断熱住宅が増えた現在において、「あたたかい掛ふとん」だけでなく「気持ち良い掛ふとん」が求められています。
快適な寝床内の温湿度は、日本睡眠環境学会の報告で33℃50%とされています。現在においては、温度の調節もさりながら、湿度をうまく調節して快適な寝床内をつくることが大切です。

軽い掛ふとん
重い掛ふとん(毛布も含む)は、血管を圧迫し、 身体に負担がかかります。身体にストレスをかけないためには、できるだけ軽い方が良いのです。伝統的な木綿わたの掛ふとんの総重量は約4kg(側0.8kg+中わた3.2kg)、湿気を含むとさらに重くなります。
一方軽いといわれる羽毛ふとんは平均的なタイプで約2.4kg(60サテン側1.1kg+羽毛1.3kg)とかなり軽くなります。羽毛は吸放湿性も良いので、必要以上に湿気を含むことがありません。
さらに軽い眠りのプロショップSawadaオリジナル羽毛ふとんTE270-PPST98だと総重量は1.55kg(側0.6kg+羽毛0.95kg)と、同じ羽毛ふとんでも35%も軽くなります。軽い生地に加え、品質の良い羽毛は少ない量でも嵩がでるのです。
肌沿いの良い掛ふとん
軽いとスカスカするというのは、間違ってはいませんが、肌沿いが悪いのでスカスカ感じるというのが正しいでしょう。いくら、暖かい素材を使ったとしても、肌沿いが悪いと、暖まった空気が逃げてしまいます。
羽毛の場合でも、一般的に多い4×5-20マスより、5×6-30マスの方が身体へのフィット性が上がります。逆に保温性を上げようとして、羽毛を沢山入れすぎると肌沿いが悪くなるということもあります。
羽毛以外では真綿(シルク)、柔らかいウール(メリノウール)なども肌沿いの良い素材です。また、軽量で薄いカシミヤ毛布は、素材本来の温かさに加え、身体にフィットするので、羽毛ふとんと組み合わせるのが最適です。
温度33℃湿度50%を保つ掛ふとん
保温性について
保温性を決めるのはまず断熱効果です。最大の断熱材は空気、つまり嵩があるほど保温性は高まります。実際は暖まった空気を逃がさない肌沿いの良さ(フィット性)も重要になります。
保温性も地域や建物、体質によって最適なものを選ぶ必要があります。暑がりなのに、たっぷり嵩のあるふとんは必要ないでしょう。季節によっても最適な保温力は変わってきますので、季節に合わせた厚さのふとんを用意することが大切です。
重量当りの保温力が高いのは羽毛ですが、その中でも羽毛同士の絡みが強いアイダーダウンや、ステッキーダウンという希少な羽毛は、絡みの中に暖まった空気を閉じ込めるために、保温性がさらに高くなっています。
速暖性について
ヒトの体表面温度は32.5℃ですので、一般的な保温性があれば、ほとんどの掛ふとんは明け方には33℃になっています=なってしまいます。大切なことは、最初に深いノンレム睡眠が得られるように、いかに素早く暖まるかということが重要になります。
そのためには軽い生地を使うことです。軽いと、含む湿気の量が少なく、熱を直ぐに素材に伝えるために速暖性に優れたふとんになります。 一般に使われている60サテンは126~130g/㎡ 80サテンは114g/㎡ の重量ですが、当店のオリジナル羽毛ふとんに使われている TE270は69g/㎡ TE200は75g/㎡ スタンダードのS9100でも85g/㎡とかなり軽量ですから、早く暖まるのです。
湿気を調節することについて 素材と生地の選択
日本は多湿なために、伝統的な日本建築は湿気をこもらさないように、保温力を犠牲にして通気性を重視してきました。ところが高気密住宅では湿気が逃げにくい構造になっているため、掛ふとんの吸放湿性が悪いと、湿気がこもりやすくなり、結果蒸れて不快になって睡眠を妨げます。今日では保温性もさることながら、湿気を調節するための吸湿・放湿性が優れていることが快適な睡眠のために欠かせなくなっています。
羽毛や羊毛、シルクなどの動物性素材は、吸湿性の良さに加えて、放湿性が良く蒸れにくい素材です。植物性素材である木綿は、吸湿性は得意ですが、放湿性に難があります。麻は吸放湿とも優れていますが、素材自体は保温性がないので、どちらかというと多湿な夏向きの素材といえます。
一方、ポリエステルを始め多くの合成繊維が世にでていますが、基本的に合成繊維に吸湿性はありません。あるように見せかけた機能性繊維もありますが、睡眠時のような急激な温湿度変化への対応は苦手です。つまり合成繊維は保温性は確保できても、湿気の調節は極めて苦手ということです。
また生地の通気性も重要です。中わたがいくら吸放湿性に優れていても、側生地の通気性が悪いと本来の良さがでてきません。例えば快適と評価の高いビラベック社羊毛敷布団の側生地は極めて通気性の良いマコトリコット生地を使っています。羽毛も同様に生地の通気性が、羽毛本来の良さを活かすための条件となります。
現在、多くの羽毛ふとんの側生地に合成繊維が使われています。合成繊維を使った側生地は通気性が悪いのです。一般的な60サテンは通気度1.3~1.5cc/sぐらいですが、合成繊維や合成繊維混(ポリエステル80%綿20%)の生地だと0.5~0.9cc/sと半分以下になります。一方、当店オリジナルのTE270は6.0cc/s、TE200は5.0cc/s、S9100は3.0~3.5cc/sと高い通気性を持っています。これは品質の高い羽毛の良さをできるだけ活かすための選択です。